京都御所にほど近い西陣エリアに建つ、築100年を超える町家をセカンドハウスとして改修したプロジェクトである。
町家は、長い年月の中で幾度も手が加えられながら使い続けられてきた建築である。本計画では、そうした時間の積層を尊重し、既存の梁や柱など、この家が刻んできた痕跡を可能な限り残すことを基本方針とした。細かく区切られていた既存の間仕切りを取り払い、空間をシンプルに再構成することで、京町家特有の奥行きのある縦長の空間構成を素直に感じられる住まいへと整えている。
町家は暗く閉じた印象を持たれがちであるが、リビング上部に天窓を設けることで自然光を室内奥まで導き、日中は照明を必要としないほどの明るさを確保した。
北向きに天窓を設置したことによって、安定的な光が差し込むように仕向けた。
既存の構造を活かしながら光環境を更新することで、町家の弱点とされてきた採光性の改善を図っている。
料理研究家でもあるオーナーが自ら設計したキッチンも、この住宅の重要な要素となっている。
IHコンロを可動式とすることで、調理や来客時など用途に応じて空間の使い方を柔軟に変えられる構成とした。設計にあたっては、オーナーとの対話を重ねながら機能と空間の関係を丁寧に検討している。
また、連棟長屋である町家において課題となりやすい音環境にも配慮した。隣家に接する壁面には遮音シートと断熱材を施工し、生活音の伝播を抑えることで、都市の密集した住環境においても快適に過ごせる住宅としている。
玄関から奥の坪庭まで視線が通る構成とすることで、京町家ならではの奥行きのある空間の連続性が際立つ住まいとなった。
既存の構造と光を活かしながら、町家の持つ魅力を現代の住まいとして再生している。